新型コロナウイルスによるテレワーク環境で、人事がとるべき施策

さて、このような緊急事態における人事の役割としては、(1) 社員の健康と生活の確保、(2)働きやすく働き甲斐のある環境の整備、(3)ビジネスの維持強化のための人材の確保・調整・強化、などがあげられます。
- 社員の健康と生活の確保:これは、Covid-19の感染リスクを軽減するために、在宅勤務やリモートワーク(会社以外の場所で就労)は効果的な施策です。(因みに、米国の調査では、テレワークの経験者の9割以上は、テレワークを続けたいと回答しています。)すし詰め状態のラッシュアワーの通勤時間をさけるためのフレックス制度を導入、または強化するところもあります。また、マスクを社員に配布する企業も少なからずありました。緊急事態宣言以降、休業する企業も出ていますが、これも社員を感染のリスクから守るためには重要な施策の一つです。
- 健康的、且つ、生産性の高い働く環境の整備:これは働きやすく,、且つ、働き甲斐のある職場環境を提供することです。生産性に関しては、①IT、そしてラインと共に、協働と効果的なコミュニケーション、そして意思決定を推進するシステムやツールを吟味し、導入することが重要です。②また、日本の多くの企業でみられる長い会議や非効率な働き方や業務プロセスを見直すことは不可欠です。私も、前職P&Gの人事時代、ワークライフバランスの適正化のために、全部門で業務の見直しとプロセス変革を推進し、業務効率を大きく改善しました。③新たな働く環境を生かすための人事制度やポリシーを導入することは非常に重要です。
- ビジネスの維持強化のための人材の確保・調整・強化:テレワークは今後、新たな働く形態の一つとしてグローバルで存続し続けます。多くの欧米のグローバル企業ではリモートチームが以前からあり、テレワークもある適度スムーズに導入されました。テレワーク環境は、自律的プロ社員と共に、プロフェッショナルなリーダーを必要とします。人事は、新たなビジネス環境で必要となるリーダー像や社員像を明確にし、社員の能力強化と行動変容のためのプロジェクトをリードすることが重要となります。これが成功できれば、人事(と経営陣)の最重要な使命、「企業文化の強化」へとつながります。まずは、経営陣から行動変容を始めることをお勧めします。
2020年05月18日 16:53